正体

思い出の価値なんて分からなかった

それは退屈なだけで仕方が無かった

今にして思えば 正当化する事を美しいとさえ思えた

美化する事に夢中な過去を語るのがバカらしくもあった

水をもらえず 言葉が枯れるから

見てもらえる事に縋りついている

どうしても納得がいかない 溢れた感情から

渇望に満ちた空気の中で奇をてらう

言葉なんていくらでも刷れば良い

希少価値なんてあっという間にパッと見失い

大事な何か 愛した意味が 執着の末に終着

ギャグの泡沫が弾けると聞こえる笑い声

敵だらけの霧の中へと誘われる

不快感にストレスを覚えて走り出す

頭の中に抱えたストレスを頭の中で発散させる

それの繰り返しがルーチンワーク

私という空っぽの器から人間が構築されていく

これは私が人である証明だ

やがて空になるとそれは私が人でなくなった

証明だった事を思い出す

風に吹かれてホラが舞う中

真実が覆う嘘を掴んでかち割ると

僕の正体の鍵があるんだと

奥へ進め 奥へ進め とにかく先の見えない先へと

目を向けて 耳を澄ませて 身体を震わせ

煌めいて燃やせ繁吹きをあげて

輝かせ 輝かせ 内にあるものを絞り出して

生きている意味を 見破るための僕の正体